ソラノ official

お金、夢、交友関係、恋愛沙汰… そんな人生におけるお悩みポイントもろもろについて科学的に、たまには哲学的にも書いていくブログです。全部がうまくいくように欲張っちゃうくらいがちょうどいいと思いませんか?

エレクトリックコネクション

平日の夕方、ショッピング施設に隣接するカフェ内にて、座席の机を挟んで向かい合う椅子と椅子、片方には黒いニットにショートカットの女性、もう片方に佇むものはない。

 

そんな座席を横目に僕は読書していた。
そのカフェはいつも静かで好んでいるのだが、それは今日とて変わらないこと、近くの席にはその女性1人しかいない…

はずなのだが、なにやら話し声が聞こえてくる。

 

なんとその女性が"会話"をしていたのだ、たまに紅茶を啜りながら、相対する空席に向かって。

 

宇宙人と交信でもしているのか、はたまた彼女にはテレパシーの能力があるのか、そう不審がりながらも読書を続けようとするが、なかなか集中ができない。
そりゃそうだ、隣に電波女性がいるのだから気にならざるを得ない。


首を動かすことなく目線だけを動かし、その女性を観察していると謎が解けた。いや解けてしまった。

 

超能力や宇宙人を信じていないながらも、その存在を夢見ている僕としては、実際にその類のものに立ち会えているかもしれないという状況に喜びをなんとか隠せていたのだが、現実はそう甘くはなかった。

 

「ハンズフリー通話」である。

 

マイク付きのイヤホンをつけ、携帯電話を耳に当てることなく快適に人と通話ができるというツールだ。彼女はそれで友人か何かと通話していただけだった。
勝手に抱いた謎が解け、「なんだハンズフリーか」と勝手に少し落胆していたのだが、そう気落ちすることだけではなかった。

 

というのも僕は電子機器やネットでのやり取りに対して少し抵抗があった。

 

もちろん日程合わせなど情報のやり取りを行うだけなら自分も大いに利用するが、自分の中で、人とのコミュニケーションというのは実際に出会って会話する中で生まれるものだという見解があったのだけれど、楽しそうに無に向かって話す彼女を見てその考えが少し改まった。

 

「人との繋がり」

つまりコミュニケーションというのはその人の中で生まれるものなんだ、という風にも考えれるようになった。


もちろん、実際に会って話すのが1番だという意見は変えないが、電話やメッセージのやり取りでもその人と心を通わせることはできるのかもしれない。彼女の表情を見ると、そう思わずにはいられない。


文明が発展しSNSなど、コミュニケーション手段も増え1人の人間が触れうる人間の数はきっと増えているのだろう、ならばそういうツールはきっと有意義に使うべきなのだ。


僕もあまりアナログに固執し過ぎず、上手く時代の流れに乗らねば…


そう思わせてくれた彼女に感謝しつつ、やはり僕は紙の本を読むのだった。