ソラノ official

お金、夢、交友関係、恋愛沙汰… そんな人生におけるお悩みポイントもろもろについて科学的に、たまには哲学的にも書いていくブログです。全部がうまくいくように欲張っちゃうくらいがちょうどいいと思いませんか?

二つの対照的な本を同時に読んで不思議な感覚を覚える。

もし明日死ぬなら、あなたは最後にどうしますか?

 

そんな問いを投げかけられると、普通の人なら言葉に詰まってしまうでしょう。

 

美味しいものを食べたい。

バンジージャンプがしたい。

 

はたまた、友達や恋人といつもと変わらない日々を過ごしたい。

 

死ぬ時までにやりたい10のこと、なんてものを作ったり考えたりしたことがある人は、少なくないんじゃないでしょうか。

 

きっと"あと何日で死ぬ"というのがわかっていれば、本当にやりたいこと。というのが思いつくのかな、とか思ったりしています。

 

今日は、「残りの寿命がわかってしまった主人公」というスタートから始まる、二つの本を紹介したいと思います。

 

世界から猫が消えたなら

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佐藤健主演で、2016年に映画化もされて当時話題となったこの作品。

 

 ある日、余命があと僅かだと医師から悲劇の宣告をされた30歳、郵便局員という主人公の前に、自分と全く同じ姿の悪魔が現れる。

 

「お前の命はあと一日、だけど身の回りの大切なものを消す代わりに一日だけ延命してやる。」というのだ。

 

主人公は取引に応じ、世界から電話、映画、時計などを消されながら生き長らえ、寿命が一日しかない毎日を送っていきます。

 

そんな毎日の中で、元恋人との再会、疎遠になった父や友人、などを通じて人との関わりや、命の大切さについて思いを馳せていく…

 

こんなあらすじのこの作品ですが

 

作者が映画プロデューサーでもある、というのもあって、ストレートでわかりやすく、またボリュームもそこまで多くなく、かなり読みやすかったです。

 

多少、"設定の無理やり感"というものこそ感じられますが、伝えたいことを直接的に伝えたい、ということを優先しての結果なんでしょう。

 

 

最終的には、「自分の周りには分かっているようで分かっていない、"かけがえのないもの" で溢れているんだよ。」

 

というメッセージ性があり、私もそれをこの作品を読んで強く感じれたので、ぜひ読んでいただきたいです。

 

 

身近過ぎて気づけていない大切なこと。

 

それを、「悪魔が現れ、寿命と引き換えに世界からものを消されていく。」

 

という "非日常" を通して思い出させてくれる、貴重な作品である。

 

と私は思います。

 

粗探しなんてせずに、そのメッセージを受け止める。

 

ということを思い出させてくれる作品、でもあるかもしれませんね。

三日間の幸福

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三秋縋(すがる)さん、という元々は2ch内で作品を発表されており、その作品が複数のまとめサイトに取り扱われるなどして、2011年から活躍されていた方です。

 

今作は、その中の「寿命を買ってもらった、一年につき一万円で。」というスレッドに加筆修正したもので、あらすじもそのタイトル通りのものとなっています。

 

「どうやら俺の人生には、今後何一つ良いことがないらしい。」

 

寿命の“査定価格”が一年につき一万円ぽっちだったのは、そのせいらしい。

 

未来を悲観して寿命の大半を売り払った主人公は、僅かな余生で幸せを掴もうと躍起になるが、何をやっても裏目に出てしまう。

 

そんな空回りし続ける主人公を冷えた目で見つめる、「監視員」のミヤギ。

 

一番の幸せとは何か?

 

その問いに気付く頃には、彼の寿命は2カ月を切っていた…

 

こちらのあらすじは、このようになっておりますが。

 

辛いなぁっ!!

 

もし自分が同じ状況になって同じ査定結果が出たことを考えたら、ゾッとしてしまいます…

 

自分の命の値段は一体いくらなんだろう…

 

僕はたくさんの人に関わって、そしてたくさんの人に笑顔を届けたいのですが

 

そして命の値段を聞いたときに、値段もつけられないような人生になればいいな、と願っています。(そのためにも頑張ります!)

 

 

こちらも平凡な生活の中に、一つだけ不思議なことが起こる。

 

という類の小説なのですが、"世界から猫が消えたなら"、よりも設定が練られ、複線回収も納得できる、突っ込みたがりな読書スキの方にもおすすめできる作品です。

 

 

どん底にいる主人公、寿命を売り躍起になったところで、どうにもならない "現実" を突きつけられてしまう。

 

ほんとは全然ダメなのに、「やればできるから」なんて言って、現実から目を背けてしまっている人。

 

そんな友達が周りにいるなら、ぜひ勧めていただきたい。

 

躍起になったところで何も変わらない、という現実。それをこの作品から学べるはずです。

 

 

そして中~終盤で、一気に話が展開し、ミヤギとの関係性に変化が訪れます。

 

「どんなに社会貢献するよりも、幸せなことってあるんじゃないか?」

 

たくさんの人を愛して、愛されて。

たくさんのお金を生み出し、経済を良くし、社会のためになる。

 

そういったことを、美徳と捉えていた自分が、初めてそんな風に思わされました。

 

何が幸せか? それは人によって違うものだったんですね。

 

そして本当に、ラストがいいのですが、ネタバレになるので特に言いません。

 

色々な気づきや、新しい考えをくれる。

 

素晴らしい傑作だと思います。

 

あ、あとがきが凄くいいのもポイントです!

似たような、でも違う二種類の本を読んでみて。

 

自分の寿命がわかったからこそ、行動できることがある。

 

 

明るいはずだった未来の終わりを告げられたが、それを引き伸ばす主人公。

 

どう見ても腐っている未来を、終わらせようとした主人公。

 

 

命の終わりを宣告された、2人の主人公。

 

しかし、その境遇は正反対のもので、この2つの観点から気づけるものは沢山あると思います。

 

正反対の二人と同時に向き合った僕は、とても不思議な感覚を覚えました。

 

「世界から猫が消えたなら」、は映画化もされて有名ですが

 

原作を読んでない人は、ぜひ読んでいただきたいです。

 

そして、「世界から猫が消えたなら」を知っている人は

 

絶対に「三日間の幸福」を読んでいただきたいです!!